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今日は一日中、例の転校生からの視線を華は感じていたが、悪いと思いつつもことごとく無視させてもらった。
本日の主役たる彼を独り占めにしたりしては、クラスの女子に何を言われるか分かったものではないからだ。
一日をこんなにも長く感じた事が今まであっただろうか?
華は放課後になるや否や、帰宅準備をして教室を逃げるように飛び出した。
運良く今日は部活がない日だったので、華はそのまま玄関へと向かう。
いつもなら、友人とでも遊びにゆく華だったが、そんな気も今日は起こらず、真っ直ぐに家路へと急いだ。
その途中、華はふと惹かれるように、幼稚園の頃に毎日通っていた小道を訪れていた。
確かこの道の脇に舗装されてないあぜ道があったはず、そうそう、ここで靴が汚れちゃって泣いてたっけ……。
懐かしそうに華が想いに耽っていると、背後でがさっと物音がした。
音に反応して華が振り返ると、そこに居たのはなんと、転入生の美丘 琥一だった。
「えっ、どうして?」
華が思わず尋ねると、琥一は喜び勇んで応えた。
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