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「なぁ勇、高校何処受験するか決めた?」
「否、まだ決めてない」
「だよなぁ」
学校の帰り道、僕の隣を歩く久志は投げ槍に聞いてくる。
僕らは現在中学3年生。
因みに明日から夏休み。
この時期にそろそろ決めなきゃならないのは、進路である。
「だから、久志決めて良いって言ってんじゃん」
「そんなことしたら、お前、俺と同じ高校入れないぜ?」
「うっ」
ムカつくが、久志は僕よりも数倍頭が良い。せいぜい中の上に居る僕の成績では、到底追い付けそうもない。
「…でもお前、彼女は良いのかよ?同じ高校行こうって誘われたんだろ?」
「なんつーか、真希とずっと一緒にいんのも疲れるっつーか」
「それって酷くないか?」
「だって事実だし」
彼女は出来るくせに長続きしない理由は、久志のこの考えが原因である。
「兎に角!俺は親友との高校生活を満喫したいわけですよ」
「女遊びの道具に僕を使うなって」
「…バレたか。流石だな俺の相棒!」
「痛っ!」
久志は思い切り僕の背中を叩く。…正直、これがかなり痛い。
彼女よりも親友を取る辺り、彼の中ではまだ親友の批准が高いのだろう。
僕にはそれが嬉しくもあるが、時に残酷である。
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