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「だけどさ、勇も彼女作りゃ良いのに。ダブルデート出来んぜ?」
「僕は…要らないよ」
「要らないって事はないだろ?」
「頭の良い久志と違って、僕にはそんな余裕ゴザイマセン」
「…そんな嫌味ったらしく言わんでも」
口を尖らせ、ぶつぶつと何かを言っている。
僕は、拗ねた久志の顔を見るのが結構好きだった。
「勇、もしかして」
「はぁ?」
「あれか?親友取られてヤキモチ焼いてんのか?」
「…」
言葉が一瞬詰まった。
実際、僕には行くことが出来ないポジションに対して、羨ましく思うことはしょっちゅうだ。ヤキモチなんて、久志に彼女が出来る度に出てくるし、毎日ある。
でも、そのヤキモチは"親友だから"と言う気持ちから出てくるものではない。
久志がそれを知ったら、ちゃんと受け止めてくれるのか?
…そんなはずなない。遠ざけられるのがオチだ。親友という立場も失い、離れていく。僕が久志の側から離れるなんて、出来ない。離れたくない。
だから、この気持ちは隠さなきゃならない。
「…もしかして」
久志の神妙な顔が僕の顔を見つめてくる。綺麗な顔が徐々に近付き、だんだん鼓動が高鳴っていく。血が巡り、体温が上昇していくのが解る。
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