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「きゃああああああああああ!」
夜の植物園に響き渡る悲鳴。
何事かと思った警備員が悲鳴のした場所へと急行すると、そこには女性の履いていたであろうパンプスとバッグが落ちていた。
「ど、どういうことだ!」
警備員はこのバッグに見覚えがあった。
十数分前、すれ違った女性が持っていた物だった。
慌てて本部と警察に連絡をし、消えた女性の捜索を始めたが、ついぞ女性の姿を見つけることは出来なかった。
翌日、海鳴中にこの事件が報道された。
ここ連日、植物園で行方不明になる事件が多発し、警察がこの植物園に関連があるとして捜査をしていたのだが、証拠は全く出てこなかった。
この事件はマスコミから怪事件として注目を浴び、連日報道されていた。
「これで何人目だ」
「13人目です」
「嫌な数字だな」
「ええ…」
珈琲を飲みながら、ベテラン刑事が呟く。
「不可能犯罪…ってか?」
彼のその言葉は湯気とともに宙へ消えていった。
この連続失踪事件は海鳴中で噂となり、夕方遅くまで遊ぶ子供は減り、商店街も早々と店仕舞いをするようになった。
現在の海鳴市の状況を憂いていたのは何も大人だけではなかった。
この状況にとある少女たちも憂いており、自分たちで原因を見つけようとしていたのだった。
それが物語の発端であった。
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