第一章 始まりの日

5/20
前へ
/531ページ
次へ
このザナルエイブと呼ばれる街は異世界フロンティアの魔界領に存在している 大戦が終わった後に結ばれた協定により、クロスゲート周辺は国連の管理下に置かれ、各国は国連の承認を無しにゲートへと干渉する事が不可能となった その為、クロスゲート周辺にはならず者達が集まり、やがて街が形成されるようになったのだ 国家の干渉を受けにくい為に治安が悪く、自前の自警団が警察権を与えられて取り締まりを行っている 駅から出ると、そこは街の中心部であり、此処はまだ比較的治安の良い方だ まあ、治安が良い方というだけであって、完全に安全という訳では無いのだけど 「いい加減にくたばりやがれ!」 「死ぬのはテメェ等だ!オラオラオラッ!」 「ギャハハハハッ!死んでろマヌケ!」 さ、殺伐としているなあ…… 普通の人達は既に此処を離れているけど、既に駅前のロータリーで銃撃戦が起きていた 見たところ、二つのギャング組織の抗争といった感じだけど、数が多いし巻き込まれるような事は避けた方が良い 下手に手を出して恨みを買うような真似は、今の状態では避けた方が賢明だ その現場を迂回する形で移動した僕は、そのまま地図を頼りにある建物の中へと入った そこは中は一部が食堂となっているが、奥には会計等とは別にカウンターが設けられ、更に大きな掲示板に様々な用紙が貼られている建物だ 上にも階段はあるのだが、まずはここ一階で全てが事足りる 此処はハンターギルドと呼ばれる、組合の建物で、ハンターは簡単に言えば報酬次第で何でもやる便利屋だ その便利屋が何故ハンターと呼ばれるかというと、ハンターギルドに登録していると、法で定められた特定の事態に警察権を行使し、犯罪者の逮捕が出来るからだ 賞金稼ぎという意味でバウンティハンターが居るが、これはそれを縮めてハンターと呼び、組合化する事で一般からの依頼を受注し易くしたのがハンターギルドになる 先程の、この街での自警団というのも、このハンターギルドがそれだ 要請があればハンターを組織的に運用する事も出来る為、凶悪犯罪にも対応可能であり、中には一人で特殊部隊の人間を何人も倒せるような猛者まで居るという 僕は此処で登録して名を上げて、あの英雄に誓った事を成し遂げるつもりで、一番の激戦区であるザナルエイブのハンターギルドに来たのだ
/531ページ

最初のコメントを投稿しよう!

291人が本棚に入れています
本棚に追加