第一章 始まりの日

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待っている間に、お互いがまだ名前も知らない事から、僕達は自己紹介から始めた 「一緒に受けてくれた助かったよ。僕はエミル、エミル・ヘルツェンバイン。装備は《タイタン》と《フブキ》の近距離前衛タイプだ。エミルで良い」 「オレはアレン・ブランデールだ。見ての通り、強襲前衛タイプ。アレンと呼んでくれ。まあ同じ前衛タイプとして仲良くやろうぜ」 彼、アレンの腕は確かに信頼出来る 借りを早く返したいだけかもしれないが、少なくとも今回の依頼で信用しても良い相手だろう 「ところで、アレンも同じ依頼を受けようとしていたって事は、少なくとももう一人は仲間が居るんだよね?その人は?」 「あー、いや、それなんだがなあ……実は依頼書の人数に目を通すのを忘れていたというか……ほんのちょっとミスをしたというか……」 ああ、コイツも僕と同類か どうやらお互いに依頼書の条件を満たしていないくせに依頼の取り合いをしていたらしい 今思い返せば全く馬鹿みたいな喧嘩だったのか、アレは 「けどこうして依頼は受けられたんだから良しとしようぜ!なあ!?」 「そうだね!結果的に受けられたから良いんだよね!」 お互いにあの恥ずかしい喧嘩の事を忘れるようにしたところで、受付のお姉さんから声を掛けられた どうやら依頼主の方と連絡が取れて、荷物の受け取り場所が決まったらしい 僕と、そしてどうやら同じように数日前にこの街に来たアレンは、スマートフォンの地図を頼りに指定された場所に向かった そこでは黒服の人達と、数台の車が駐車してあった 「すみません、ハンターギルドから依頼を受けたハンターです。あなた方が荷物の輸送を依頼した依頼主の方々で間違いありませんね?」 「二人か。確かにメールで送られた顔と同じだ。ようこそ、ハンターの諸君。今回の依頼だが、我々の荷物を狙う敵を排除して、我々を目的地まで送り届けて欲しい。此方も数は揃えたが、これまで何度も妨害され、積み荷を奪われているんだ。今度こそ成功させたい。頼んだよ」 「積み荷ねえ。中身は何なんだ?」 「秘密だが、多くの人を幸せに出来る代物と言っておこう。報酬は一割が先払いにしてある。しっかり頼むぞ」 中々に楽そうだけど、油断出来ない依頼のようだ 僕とアレンは輸送部隊のリーダーから報酬の一割を受け取って、車に乗り込んだ 今までの事を考えれば、敵は必ずまた現れる筈だ
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