第一章 始まりの日

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中央に積み荷を積んだ車を配置して、輸送部隊は出発を始めた 僕達は積み荷の後ろを走る車に乗り込み、敵の襲撃に備える エネルギーパックの方は既に補給済みで、《タイタン》と《フブキ》の調子も問題無い そもそもトワイライト社製の武器は誤作動なんて殆んど無いのが売りなのだ、そう簡単に故障はしない 最初は大通りを進んでいた輸送部隊は、まだ何も起きてはいないが、目的地に近付くにつれて人気の無い道を進み始める 襲撃するとなると、こういった道の狭い場所を狙ってくるだろうね そして、その予感は確かに的中した 『各車停車!二時方向に敵だ!』 「来たぞ!報酬分の仕事を果たしてくれよ、ハンター!」 「行くよ、アレン!」 「応よ!オレの《ロキ》で蜂の巣だ!」 先頭の車が敵を見付けた事で、それぞれ車から降りて敵へと備えた 僕とアレンは積み荷の左右に陣取り、敵が来るのを待つ そして、敵の姿が見えると輸送部隊の黒服達と一緒に銃撃を始めた 敵の姿は遠くてあまり見えないけど、どうやらだけ一人らしい 囮か捨て駒か、どちらにせよ倒しておけば敵の算段は崩れる筈で、僕は射程が足りないから敵が更に近付いてくるのを待つ そして、敵と先頭車両の黒服達が接触した 「来たぞ!いつもの《灰被姫》だ!」 「やるぞ、エミル!」 「当然!絶対に成功させて、名を売ってやる!」 そう気合いを入れたが、此処で予想外の事があった 先頭車両の黒服達だが、なんと数秒ももたずに撃破されたのだ 敵は武器をスタンモードにしているようだが、それでも安心して良い訳ではない スタンモードを数発も連続で受ければ心臓の弱い人は死に至る事もある、絶対に死なないという保証は無いのだ 敵は灰色のフード付きローブを纏っており、顔や体格は分からないが、露出した腕部分から武器は見えた 二丁拳銃使いで、僕もカタログでしか見た事は無いが、両方ともTWHG-2028《フレイア》か 左右それぞれ、細かなカスタマイズが施されているところを見るに、単に性能だけに頼った敵ではない筈だ それにしても動きが軽やかだ、空中に飛び上がる事もあるクセに、上手く狙いを定めさせない この敵、確かに何度も輸送部隊を襲撃して積み荷を奪っていける訳だ 囮でも捨て駒でもない、敵はこの一人が本隊なんだ
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