プロローグ

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僕の名前はエミル・ヘルツェンバイン、ドイツ系日本人で、先日十九歳になったばかりだ 両親は純粋なドイツ人で、僕は二人が仕事先である日本で産んだ子供だ そのお陰で僕は日本語とドイツ語の二つを使う事が出来る、これはちょっとした自慢だ そんな僕だけど、今実は困った事になっている それというのも、実を言うと現在進行形で 「待ちやがれこのクソ餓鬼!」 「その首切り落としてメインストリートに晒してやる!」 「内臓は闇で売り払ってやるから安心しろ!」 「誰か助けてぇぇぇ!!」 明らかにカタギの人間じゃない、顔にまでタトゥーの入った厳つい顔のギャング達に追われています 僕が働いているとある小さな事務所の社長に言われてタバコを買いに行って、その帰りに少し近道をしようとしたのが不味かった まさか、ギャングの薬の密売現場に出会す事になるなんて予想もしなかった 必死に逃げてメインストリートに出てもまだ追ってくるギャング達を止めてくれる人は居ないし、警察に通報しても直ぐには動いてくれない 悲しいかな、ドイツでも日本でもないこの街じゃあ、こんな事が日常茶飯事になって皆感覚が麻痺しているのだ とはいえ僕は後ろから撃たれながらも、何とか事務所まで残り半分といったところまで逃げ延びた 後は複雑に入り組んだ道を抜けて、ギャング達を撒けば終わりだ だけどその時、路地裏へと続く角から見慣れた顔が現れて、僕はそれに声を掛けた 一人だと無理だけど、彼と二人でならギャング達を倒す事も出来る、そう判断してだ 「アレン、丁度良かった!ちょっと手伝って!」 「エミル、良いタイミングだ!ちょっと手を貸してくれ!」 アレ?良く見ると彼の、アレンの後ろにもギャングみたいな格好をした人達が…… 「エミル!何でお前も厄介事引っ張って来てんだよ!?」 「それはこっちの台詞だよ!何でアレンも別の所でトラブル起こしてるのさ!?」 お互いにお互いを責めるけど、そんな余裕はあまりなかった 今まで片方だけだったのに、一気にその倍の火力を二つの方向から撃たれてる訳だから、堪った物じゃない 『うわあぁぁぁぁぁ!!』 結局、僕はアレンと一緒に逃げる事になった、倍に増えたギャング達をその後ろに引き連れながら
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