第一章 始まりの日

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「貴方に依頼したのは主に薬物の密売で利益を上げている犯罪シンジケートなの。安心して、今回はギルド側の不手際だから貴方達が罪に問われる事は無いわ」 「その薬物を、どうするつもりなんだ?」 彼女は僕に色々と教えてくれたが、そのアタッシュケースを持っていかせる訳にはいかない だが彼女は質問の意味が分からないといったように首を傾げた 「警察に届けるに決まってるじゃない。そもそも、私もハンターよ。警察から直々に依頼を受けて、こうして回収に来たんだから」 「君も、ハンター?」 確かに腕のあるハンターともなれば、ギルドを通さずに直接依頼を頼まれる事もあると聞く その際は基本的にギルドが介入しないから、下手をすれば犯罪に利用される事もあるんだけど、警察に依頼されるところや、さっきの動きを見ても彼女はかなりの腕利きらしい 各国の干渉を受けないこの街にも、一応は街の統治機構が運営する警察が存在する ハンターのお陰であまり活躍の場は無いけど、それでも事件を本格的に調査していくとなると、個人のハンターよりも組織の警察の方が上だ だから警察は捜査、犯人の確保なんかの荒事はハンターといったように分業されてきている そして警察からの依頼を直接受けるような彼女は僕なんか足元にも及ばない存在なのだろう 「さっき警察を呼んでおいたわ。逮捕は向こうがしてくれるみたい。貴方達も車の席で休んでおくと良いわ」 「優しいんだね……」 「不可抗力とはいえ、私が傷付けた事に変わりはないもの。罪悪感くらいはあるわよ。ほら、肩を貸してあげるわ」 「あっ、ちょっと待って!」 彼女は何気無い仕草で僕に肩を貸してくれようとした でも、僕は《右腕》と《右足》、そして《右目》のせいで見た目以上に体重が重い それを伝えようとしたのだが、既に遅く、予想外の重量にバランスを崩して彼女共々地面に倒れてしまった 「イタタ……あれ、何だろうこれ?」 転けた後、視界一杯に広がっていたのは謎の青と白の横縞だった そして首を動かして上を見ると、尻餅をつきながら顔を真っ赤にした彼女を下から見上げているような状態になっていて、僕は先程の縞模様が何か理解した 「えっと、その、ゴメン……」 「ゴメンじゃないわよ!この変態!」 「うわぁぁぁ!?」 次の瞬間、胴体に《ムラクモ》を受けて、僕の意識は途切れた
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