第二章 遺跡

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「そういう訳で遺跡まで遠征する」 「えっ?どういう事ですか?」 この事務所に来てから三ヶ月、あのギャング組織を壊滅させてから丁度一ヶ月が過ぎた頃、依頼も無く事務所で映画鑑賞をしていたら、マスターが突然そんな事を言い出した はっきり言って突然の事過ぎて、何が何だかさっぱり分からない 同じく映画を観ていたアレンを見てみたが、彼も何が何だか分からないらしい そもそも、そういう訳でと言うが前置きも何も無いのに納得出来る筈がない 「ごめんね、マスターの趣味で遺跡の探索をする事があるの。定期的に貯めたお金で各地の遺跡に遠征するのが、《スパーダ》の恒例行事なのよ」 「はぁ、そういう事ですか。また無理難題押し付けられるのかと思いましたよ」 「エミル坊、アタシは無理をさせたつもりはないよ。無茶させただけさ」 「被害に遭ってる僕達には変わりませんよ。それで、今回は何処に行くんですか?」 「んー、まあいつも適当だからねえ。フォーサンロスにでも行こうか」 フォーサンロス……確か、僕達の居るザナルエイブの位置からすると…… 「って、かなりの遠出じゃないですか!?」 「うん、大陸間横断列車で大体一週間。遺跡の調査に二週間は欲しいから、帰りも含めると大体一ヶ月だね」 「一ヶ月って、ハンターとしての仕事は大丈夫なんですか!?」 「あー、平気平気。アタシ等以外にも居るし、それに遠征先でも仕事はあるし」 何という緩い考えなんだろう、そう思ったけど一人で残っても大した依頼を受ける事しか出来ないから僕も行くしかないか 「因みに全員強制参加な。マスター権限だ」 職権乱用な気もしなくはないが、この遠征も旅行感覚で楽しもうと思えばまあ良いだろう こうして、《スパーダ》の遺跡調査遠征が決定した 出発は三日後という事で、それまでに遠出する準備を整えろというのだ 「あっ、そうそう。遺跡調査中に発見したお宝に応じて、アタシのポケットマネーから報酬も出すよ。本当に貴重なお宝にはそれなりの金を出すから、頑張りな」 「よっし、エミル!張り切っていくぞ!」 「子供の頃にやったなあ、宝探し。楽しみだね」 尤も、あまり乗り気でなかった僕とアレンもマスターの一言でやる気を出した 遺跡のお宝というと、大抵が古代文明の遺物だ それを手に入れれば、一攫千金だって夢じゃないからね
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