291人が本棚に入れています
本棚に追加
「あら、お帰りなさい。また厄介事でも呼び込んだの?」
「理由は知らないけど、二つのギャング組織に追われてたわ。それと、動けないのは自業自得だから放っておいて」
事務所に入った僕等を出迎えてくれた、眼鏡が良く似合う黒髪の美人お姉さんはマグノリア・タキガワ(瀧川)、日系フランス人で、今年で二十二歳になる僕等の『目』や『脳』の役割を果たしてくれる人だ
早い話が直接現場には出ずに情報収集やオペレート、各種データの分析を行ってくれるオペレーターだ
確か、何処かの難関大学を首席で卒業した秀才だった筈だけど、それが何でこんな事務所でオペレーターをしているのかは分からない
また、彼女はその頭脳を活かして、様々な専門的な解析まで、一人で請け負ってくれている
その他にも事務、会計、仕事の受注といった仕事を一手に担っているから、この人には事務所の誰もが頭が上がらない訳だ
「そう。それじゃあ、そのままで聞いてね。エミル君、マスターが呼んでるわよ?」
「えっ?でも、僕はまだ動けないし……」
「大丈夫、これを使えば何とか移動は出来るから」
「はい……」
そう言って彼女から渡されたのは、彼女が前に趣味にしようとしていたスケボーだ
あの時は僕もついていったけど、彼女はなんとタイトスカートなんかの、普段のOL風な格好で挑戦して、盛大に転けていた
その時に見えたストッキング越しの布地もだけど、マグノリア、マギーさんの脚の曲線美は最高だった
あれ以来一度も挑戦してないから忘れかけていたけど、ボードだけはちゃんと持っていたのか
「ねえ、エミル君。何か変な事考えてない?」
「えっ!?な、何でもないですよ!?」
「そうかしら?まあお年頃の男の子なら仕方無いのかもしれないけど、そういう事は周りに分からないように、ね?」
「ス、スミマセンでしたぁぁぁぁぁ!!」
バレてる!もう完全に僕が何を考えていたのか、見抜かれてる!
そしてあんな笑顔で注意されたらさっきのお仕置きとの温度差でこっちがいたたまれないよ!
あまりの羞恥に、僕は受け取ったスケボーを体の下に置いて、台車にして走って行く
本当に嬉しくないけど、僕等はスタン弾で動けなくなる事が多いから、この手の移動方法はかなり慣れてしまった
でも速いのは確かだから、僕は僕の雇い主であるマスターの部屋に、直ぐに到着する事が出来た
最初のコメントを投稿しよう!