第十四章 ドラグ国

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「これがそのチケットだ。お前とレーネの二人分だな。あの人気振りなら、二席だけでも融通するのは大変だったろうな」 「はあ、ありがとうございます」 空間魔法で取り出したらしく、虚空に手を伸ばすと何処からともなく現れたチケットを受けとる とはいえ二席か、アウラが大ファンなだけに、出来れば代わってあげたい、とはいえ折角の招待なのに行かないというのも失礼なように思えるし、う~ん…… 「エミル、アンタあの娘と行ってきなさいよ。私より、本当に行きたい人が行った方が喜ばれるでしょ」 「えっ、でも良いの?普通に応募したら数倍から数十倍の倍率なんだよ?」 「良いのよ、確かに知り合いにはなったけど、あまり歌を知らない興味のない人間が行っても失礼にあたるでしょ」 そういい、自分の分のチケットを僕の方へと押し付けてくるレーネ そう言うのであれば、お言葉に甘えてアウラに渡してあげる事にしよう 「おや、てっきりレーネと二人でデートになると思ったんだがな。あまりつれない態度だと直ぐに愛想尽かされるぞ」 「アンタは!一々!五月蝿いのよ!」 「ハハハ、照れてら照れてら」 「クッ、本当にムカつく!覚悟しなさい、今度という今度こそ息の根を止めてやるわ!」 「おー、怖い怖い。さて、俺も帰るか。そんじゃあな、エミル」 「待ちなさいよ!待てぇー!!」 火遊びどころか火薬庫にミサイルを叩き込むかの如きイクスさんの言葉に、レーネは怒声とレーザー弾で返す そしてそれを手に魔力を纏わせた状態で殴ってレーザーのエネルギーと相殺するという、一歩間違えれば腕が吹き飛ぶ可能性のある高等技術を難なくこなして迎撃しているイクスさん それに埒が明かないと判断したのかレーザーソードを抜刀して斬り掛かるが、それらもヒラリとかわすとイクスは部屋を出ていった、後ろに怒りで顔を真っ赤にさせたレーネを引き連れつつ 「……僕も帰ろうかな」 周囲のスタッフの人達も苦笑していて、これ以上此処で出来る事はないし、言われた通りに部屋に戻って休む事にしよう と、その前にアウラに明日のライブのチケットが手に入った事を伝えないと この時代に目覚めてから知った、一番好きなアーティストのライブだ、絶対に喜んでくれるだろうなあ
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