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薄暗い部屋の中に二人の人物がいた。
一人は葛葉、もう一人は…
「女を屋敷に入れるなんて何を考えている?」
「お気に召しませんでしたか?
可愛い可愛いメイドさんですよ?」
「そんなことではない。」
「私も驚きましたよ?
慰謝料か娘をと言って娘を差し出すとは…」
「親に売られたか…」
「良い子ですよ?
素直で聞き分けが良くて。
何よりメイド服姿が可愛い!」
「お前の趣味は聞いてない…」
ため息をついたもう一人は中庭での事を思い出していた。
自分と目が合った時に慌てて頭を下げた姿。
「とりあえず無茶はさせるな。
手を出すな。
しっかり約束は守らせろ。」
「わかってますよ御主人様。
私も彼女の事は気に入っていますから。
それに可愛い子は目の保養になりますしね?」
「お前の趣味は聞いてない…」
再度ため息をつき部屋に取り付けてある大きな鏡の前に立つ。
鏡にうつる姿にイライラし右手を鏡に叩きつける。
鏡はバラバラに砕け散り足元に散乱する。
「これで記念すべき15枚目の鏡割りですよ?」
「掃除しておけ…」
「わかりました御主人様。」
葛葉はため息をつき掃除道具をとりに部屋を出ていく。
イライラしたように乱暴に椅子に座る主人。
目の前の机の引き出しから書類を取り出す。
悠の顔写真と共にプロフィール等が書かれている。
以前流すように読んでいたが今度は一字一字覚えるように読んでいく。
「なぜこんなところに来たんだ…」
その呟きを聞くものは誰もいなかった。
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