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車は大きな門をくぐりさらに先へ進む。
森から一変し綺麗な花が咲き乱れる庭の横を通りすぎ目の前には建物が見えてきた。
「さぁ着きましたよ」
玄関らしき場所に車が止まり、促されるようにおりた目の前にあったのは見たこともない豪邸だった。
中に入ると玄関もとい広々としたエントランス、
天井にはきらびやかなシャンデリアに目の前に螺旋階段。
左右に広がる廊下の先はかなり遠い。
(次元が違う…
絶対物凄いお金持ちの家だ…)
「貴方の部屋はこっちですよ?」
驚きすぎて立ち止まる悠を気にするわけもなく、執事服の男は向かって右側の廊下を歩き出す。
彼女もついて行くために右に向き直るが視線を感じ振り向き、二階の階段を見た。
(黒い服?
この家の人かな?)
目の端にとらえた黒い服を気にしながら慌てて執事服の背中を追いかけた。
「そう言えば自己紹介がまだでしたね…
葛葉和彦(かつらばかずひこ)です。
よろしくお願いしますね?」
「こ、こちらこそよろしくお願いします…
そう言えばさっきから誰も見かけませんね?」
屋敷に入ってから純粋に思ったことを聞いてみた悠。
屋敷についてからは運転手と葛葉以外見ていない。
それに静かすぎる。
まるで誰もいないかのように…
「それは後で説明します。
この部屋が貴方の部屋になりますので自由に使っていただいて構いません。
まずはクローゼットの服に着替えたあとこの廊下のさらに先にありますダイニングまでお願いします。」
「ありがとうございます。
今日からよろしくお願いします。 」
「礼儀はキチンと出来ているようで安心しました…
ではダイニングでお待ちしてます。」
「はい…」
静かに扉が閉まると悠は大きなため息をついた。
気を取り直しクローゼットを開けると中に入っていた服を取り出し広げてみる。
黒と白のモノトーン。
肌触りの良い生地。
たっぷりとふんだんにあしらわれたレース。
膝下のスカート。
はっきり言って可愛い。
可愛いが…
(アニメで見たようなメイド服が実際にあるなんて…)
着てみると怖いくらいにぴったりサイズ。
靴下から靴すべて…
クローゼットの横の姿見で確認し脱いだ服と自分の荷物を片付け彼女は扉を開けた。
ダイニングへ向かう長い廊下には彼女の足音が響く。
あまりの静かさに少しの不安を抱きながらダイニングの扉を開けた。
逃げるわけにはいかない。
これから何が起ころうとも…
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