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葛葉から聞かされた事をまとめると…
◯仕事はこの広い屋敷の掃除
◯一日で全てではなく何日かに分けての掃除
◯8時と12時と19時に食事のためダイニングに来ること
◯仕事が終わったそれ以外の時間は何をしていてもかまわない
◯22時以降は部屋から出ない
◯3階の奥の床の色が違う場所は何があっても立ち入らない
との事だった。
「携帯もこちらで預からせていただきますが大丈夫ですか?」
「家族には家を出る前に挨拶してきたので大丈夫です。」
「良い心がけですね~
貴女と仕事をするのが今から楽しみですよ。」
満面の笑みで言う葛葉の言葉に首をかしげつつコーヒーを一口飲む。
そして悠はこの屋敷に来たときから思った疑問をぶつけてみた。
「いくつか質問しても良いですか?」
「答えられるものでしたら答えますよ?」
「ありがとうございます。
ここにきて私と葛葉さんと運転手さんしか見ていないのですが他の方はいないのですか?」
「ここに常にいるのは私と貴女、あとこの屋敷の持ち主である主人のみになりますね。
他の方々は必要な時以外は立ち入りも許可してませんからね?」
「そうなんですか?
そのご主人様に挨拶等しなくて大丈夫ですか?」
「主人は気難しく、人見知りな方ですからね…
貴女の事は一通り話してありますから大丈夫です。」
「そうなんですね…
わかりました。」
コーヒーを飲み終わり悠はカップを置いた。
全てにおいてスケールが大きすぎる。
今日からここでする生活に不安しか浮かばない。
葛葉を見るとなぜか笑顔のままだ。
「そんなに緊張しなくて大丈夫ですよ?
仕事は明日からでかまいませんので今日は屋敷の中を探索してはどうですか?
3階の奥以外でしたら自由にしてかまわないですからね?」
「わかりました。
少し歩いてきて大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよ?
書庫室もありますし、本は好きに読んでもらって大丈夫ですし…
あっ、これがここの見取り図ですので使ってくださいね?」
「ありがとうございます…」
見取り図を貰い立ち上がると頭を下げる悠。
その間も葛葉は笑顔のまま。
「これからよろしくお願いしますね?」
葛葉のその言葉を背中で聞き悠はダイニングの扉を閉めた。
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