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「何がいけないんだろう」
色川は各パートの代表達と円を作り会議を始めた。
「私がいつも同じところでクレッシェンドを忘れちゃうから…」
木下は視線泳がせながらいう。
「ミスるのはしょうがねーけど同じとこばっかミスるのはやめよーぜ?」
ホルン代表の渡辺は腕を組む。
「そんなこと言ってさ、渡辺君だって音吹先生に注意されてたじゃん。主張が強すぎだって」
クラリネット代表の田宮は渡辺の肩を軽く叩く。
「うっせ。だからミスしたことはしょうがねーって言ったじゃん」
渡辺は舌を出しながら言う。
「会議はそこじゃなくて、どうやって息を合わすかだよ?そろそろ大会近いんだからさ!」
打楽器代表の羽田は渡辺と田宮の間に入りながら笑顔で言う。
「次の大会では優勝するのが目標だからミスうんぬんじゃないんだよ。先生も言ってたじゃん?」
羽田に続いたフルート代表の三木は「ねー」と同意を求めるようにサックス代表の長崎を見る。
「ミスは元々目立たない小さなものですし。やはり先生をあっと言わせるには息を合わすのがいいかと」
長崎は眼鏡を押し上げる。
「私達の目標は音吹先生が見てくれる最後の大会で完璧な演奏をすることだもんね」
チューバ代表の流崎は可愛く星を飛ばす。
「それが先生への僕達なりの恩返しだから…だよね?」
トロンボーン代表の吉田は上目使いで色川を見る。
「そう。僕達は最後の大会で完璧な演奏をして音吹先生に感動と感謝を伝えるんだよ。皆演奏は上手いんだ、後は息を合わすだけ。」
色川はそう言う。
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