凛鐘高校吹奏楽部

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カポッと軽い音がして箱の蓋は簡単に開いた。 「中身は……」 蓋を床に置いた色川は箱の中に視線移す。その後から木下はのぞき込んでいた。箱の中に入っていたのは紫色の布に包まれた細長いものだった。 「色川君…なにそれ?」 「うーん。何だろ?」 「布…とって見たら?」 「誰のか分からないのに勝手に触るのはマズイよ」 「あ…そ、そうだよね。ごめn」 「なーんてねっ!」 「あっ!色川君!?」 色川はイタズラな笑みを浮かべ布を取った。 「えっと……」 色川の上から箱の中をのぞき込む木下は目を細めた 「これは…」 色川は目を丸くする。 「「指揮棒??」」 二人はハモった。布に丁寧に包まれていたその指揮棒は白く手持ちは普段使ってる丸い手持ちでなく、細長いスラッとしたスリムで、何よりデザインが木目でなく星を散りばめた夜空のようなデサインだった。 「なんというか、綺麗だね……」 木下は指揮棒に見とれていた。 「吸い込まれるみたいだ…」 色川も指揮棒から視線を外せず、無意識のうちに指揮棒に手を伸ばした。 「触っていいの?」 木下は不安そうに色川の顔を除く。色川は 「大丈夫。ちゃんと戻すから」 そう言い夜空のような手持ちの部分を眺めていた。 「すごい持ちやすいし、軽い。この指揮棒すごいね」 色川は軽く指揮棒を振った 「振りやすいなぁ。」 「し、色川君。もう戻したら?ほら、音楽室の鍵も返さなきゃいけないし……」 色川はハッとして 「それもそうだね。ごめんごめん。」 木箱の中に元あったように戻し、床から木箱を持ち上げると棚の端にある隙間に挟むように置いた。 「ごめんね。行こうか」 色川は鍵を握り木下と共に音楽室から出た。
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