第02話 ~端緒~

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 サユにはほんの一瞬、ルコリーには太陽が15度ほど傾いたぐらいに感じた時間が過ぎた時、ルコリーは口を開いた。 「貴女は北から来た人でしょう?」 『ええ、そうよ』  ずっとルコリーの二の腕を掴んだままのサユは魔法で答える。  第三者から見ると、ルコリーが一人しゃべりをしているように見える。  幸いに先ほどから中庭は2人しかいない。 「イェンセンのある南ではね、バーキン家は知られてないけど北では富豪として有名なのよ。  貴女は嘘で私を連れ出して、人質にしてお父様に身代金をゆする気ね!!」 『………』 「もし家で何かあった場合には、馬車を寄こすか信頼ある使いの者が来るはずよ。  ふふっお馬鹿な人ね。  私は貴女のくだらない嘘には乗らないわ。  そして貴女を警備員に渡して万事解決になるわね。  しかしなかなか考えたわね。  私と近い年齢の女の子を使って学校にもぐりこむなんて。  よく学校関係者を騙せたわね。  ここに入るには紹介状を初め、色んな書類が必要なのに!  あなた達一味はとんでもない悪党みたいね!  大方、お金に困って悪党の手伝いをしているのでしょう?  今、本当の事を話すなら、私が学校に掛け合って保護なりなんなり……」 『……私は今、学校関係者のはからいで、警備員寮に寝泊りしています』 「……は?」  ここ、アイマリース女学院は赤いレンガの高い塀で囲われ、 正門と裏門に警備員詰め所がある。  その堀の外に寄り添うように細長い警備員寮がある。  富豪のご令嬢を集めている場所なので、 セキュリティ面では力を入れているので安全ですよ、と内外に示しているのである。  ちなみに警備員は軍役経験者が絶対条件だが、家柄や素性の明らかな者が優先で雇用される。  つまりはコネクションによる採用なので、警備能力としてはいま一つ不安なのだが、 その悩みは学院内の大人の間だけで秘されている。 『いい?ルコリー。  私は依頼主と会ってないけれど、  お父様が亡くなる10日以上前に有事の時に貴女を守る依頼が来ていたの。  つまり依頼主は近いうちに有事が起こる事を予見し、  貴女への遺産を横取りしようとする敵が現れる事まで考えていたのです。  そして、家紋入りの馬車ですっ飛ばして、  敵の標的になる事も危惧していたのです』  今度は私の番だ、とばかりにサユが話を続ける。 『貴女のお父様は殺された可能性が高いのです。
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