第02話 ~端緒~

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 そして貴女とお兄様の前にその敵が現れる可能性も高いのです。  もしかしたらお兄様は…  私は二日前にこのイェンセン城国に入って、  私達のネットワークで誰よりも早くお父様の訃報を聞きました。  だから一刻も早くこのイェンセンを出る事が、敵を出し抜くチャンスなのです!』  魔法でいっぱい喋るのはつかれるわ、と呟きながらサユの話は終わる。  サユの話の後、少し考えてからルコリーが言う。 「…学校公認だからって、貴女がその敵である可能性だってあるじゃない」 『…は?』  ルコリーの腕を掴んでいたサユの手の力が少し抜ける。  ぺちっ  ルコリーは左手でチョップを繰り出したが、サユの左手で止められる。 「ほら、貴女の目が見えないのも嘘なんでしょ!  白杖もその目隠しも私を油断させるための…」 『師匠の元で修行した成果です。  師匠はすごいんです。すごい師匠なんです。  私は目は見えないし、喋れないのも事実です。  話せないからこんな魔法が使えるように…』  サユが言い返していた途中で、ルコリーはサユの右手を振り払った。 「とにかく!!  何かあったとしても私は家の指示を待ちますわ。  お父様の指示でこの学校に来たのですもの、勝手にここを離れられませんわ!  お父様とお兄様に手紙を書いて指示が来るのを待ちます!」  言い放つと、ルコリーは足早に中庭から校舎へ入っていった。  鐘が鳴る。  どうやら午後の授業が始まる鐘のようだ。  ぐぅ~、とサユのお腹が鳴る。  私のお昼ごはんが…と心の中で呟いてうなだれた。 **************  夜空に輝く一筋の光「女神の涙」が、森の闇をさらに深くする。  その闇の中に隠れようとするように、数人の兵士の死体が転がる。  激しい剣戟の音が森の闇の中に響き渡る。 「ぐぎゃっ」  闇から光へ、兵士の首が転がり出る。 「ちょっと用があるけぇイェンセンにちょっと入るだけだべ。 それを邪魔しおってからに」  闇が意志を持ったように、光の方へ顔を出す。  それは闇ではない。 逞しい筋肉で肩が盛り上がり、太い腕を持つ黒い鎧を纏った男だった。 「んだべ、だが楽しみだなぁ、兄者!」 「何だべ、仕事しに行くだけじゃろ」 「若いオナゴがいっぺーおる所じゃろ。選び放題だべ!」  続いて、2人の黒い鎧が闇から顔を出す。 「おおそうじゃ、仕事と遊び両方楽しんだらええべ。
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