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第03話 ~長考~
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ルコリーが生きてた時代よりずっとずっと後世の歴史学者が言う
「魔法のせいで産業革命が5千年遅れた」と。
魔法の便利さを表すものとして、次のようなことわざがある。
「大人が10人集まれば国が作れる」
いずれも大げさな表現ではあるが、人が長い歴史の中で
いかに魔法に頼っていたかがわかる言葉だ。
壁を頑強にする魔法を持ってる左官職人が一人いれば、
建築様式は大きく変わる。
村や町の発展度も大きく変わる。
土や岩を動かす魔法を持つ者がいれば、開墾や掘削が容易になる。
だが個人が強い力を持っていると、
まとめる側からすればやっかいなようだ。
それぞれが自分を生かす場所を探し求めている世界では、
大きな城塞都市・「城国」が最大の集団体系と思われる。
城国が集まって「国」となる例は稀である。
ここイェンセン城国も元は「土を富ます」魔法や、
魔法石で多くの地を耕す魔法を持った者が集まった農業の町だった。
しかし10年前の大きな戦争で、
戦火から逃れるため多くの商家がやってきて城を作った。
東に山々が並び、西に延びるこの小さな半島の地なら、
戦争の火の粉がかかりにくかったのだろう。
元々住んでいた農家は、城国の回りに幾つかのコミュニティーを作り、
作物を商家と売買し富み栄えている。
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