第01話 ~入校~

1/7
前へ
/265ページ
次へ

第01話 ~入校~

  風と水に聞かん   森と山と語らん   人の世の儚さよ   全て葉上の滴が如し  山間にまさに夕日が沈もうとする中、池のほとりの野原に、 大きな女と少女のシルエットが影絵のように浮かぶ。   迷いて落ちるはうたた寝の間よ   いかに笑うて暮らそうか   いかに泣いて暮らそうか  大きな女の、間延びした詩の詠唱とは対照的に2人は素早い動きで、 刀身を重ね、交わし合わせている。  そのスピードは、素人が目で追うには難しい。   葉身で踊りたもれ   舞たもれ  女の歌は大きく広く響き渡り、激しく鋼鉄がぶつかり合う音に負けていない。  十二分に剣を交わして、満足したのか2人は少し距離を置く。 「みやげ話、楽しみにしているぞ」  その言葉を聞いて、少女は深く礼をした。
/265ページ

最初のコメントを投稿しよう!

100人が本棚に入れています
本棚に追加