第27楽章~月と太陽の二重奏を~

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抱きしめていた腕を解いて、適度な距離を置く。 すると、アレンが「あ」と声を上げた。 「?」 アレンの視線を追うと、病室の棚の上にたどり着いた。 そこには、パルチザンを収納していたギターケース。 と、以前クロスさんから貰った小さな木箱が置かれていた。 フォーちゃんがケースから出したのかな…などと考えていたら、アレンから驚くべき発言が飛び出す。 「あの箱……僕も持ってますよ。鍵も」 「え? そうなの?」 アレンは一度自分の病室に戻り、木箱と鍵を手にやってきた。 「これです」 アレンが持ってきたのは、私がクロスさんから貰ったものと全く一緒の箱。 「これ…クロスさんから貰ったの」 「ミュアも? 僕も師匠からもらったんです」 「……鍵穴が合わない鍵も?」 「はい…」 これは…単なる偶然? 否、おそらく必然。 「…アレン、お互いの鍵、交換してみない?」 「そうしますか」 鍵を交換し、全く同じタイミングで鍵穴にキーを差し込む。 くるりと廻すと、かちゃん、と軽い音を立てる。 解錠された音だ。 「開いた…」 中を確認すべく、木箱の蓋を開ける。 箱の中には……黄金色に塗装された、鍵のペンダントが入っていた。 鍵は太陽をモチーフにしているらしく、どこか神々しさを感じるデザイン。 「これは……」 同じく、箱の中身を見たアレンは、中の物を持ち上げ、まじまじと見つめている。 アレンが手にしていたのは、白銀に煌めく三日月の形をした南京錠っぽいデザインの、錠前のペンダント。 どちらもサイズは小さい。 その大きさ、約2センチほど。 「……何これ」 「ペンダント、ですね」 「見れば分かる。そうじゃなくて、なんでクロスさんはこれを私たちに?」 ワケが分からない。 クロスさんの突飛さは私の想像の斜め上を軽々飛んでくからなぁ。
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