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激闘の夜が終わり、地平線に朝日が昇る。
空中で弾けた二度の光。
一度目はまだしも、二度目は尋常じゃなかった。
報告を聞くと、近隣の竹林が広範囲に渡って消失してしまったらしい。
この異常事態に、様子見も兼ねてフォーはアジア支部から件の竹林へとやってきていた。
……来たはいいが、辺り一帯が霧に包まれていて、何も見えない。
「(死人の臭いだ。でもなんも見えねーぞちくしょー)」
足元すら見えないまま、とりあえず両足を動かす。
「(何なんだよこの霧…)りっ!?」
何かにつまずき、顔面を地べたに打ちつける。
転んだ拍子に見つけたトランプを手に取った。
「ん? 何だこりゃ? 西洋カルタ? なんでこんなもん…………」
フォーの言葉は、そこで一旦途切れる。
虚ろな瞳の少年と、彼のそばに倒れ伏す少女を目にしたからだ。
「あちゃぱー こりゃもう手遅れだ」
パタパタ…。
霧に紛れて、気づいていなかったが、その少女の上で、銀色のゴーレムが翼を羽ばたかせている。
「お前、ちょっと手伝え。とりあえずコイツら運ぶから」
銀翼のゴーレムは、少女の近くに落ちていた黒のギターケースを尻尾に巻き付け、フォーの後を追った。
☆
……暗い。
目を開けて、最初にそう世界を認識した。
真っ暗な、闇。
そこに1人立っている。
ここは……どこ?
(……どこでもいい)
ふと、パートナーの事が頭に浮かんだ。
(そうだ…アレンは?)
どこにいるの?
闇の中を歩き出した私の背後から、声が掛けられる。
「何言ってるの。アレンは、死んじゃったじゃない」
「…え?」
振り返れば、そこにはもう1人の自分が立っていた。
「そんな……ウソよ。アレンは……」
「嘘じゃない。貴女だって見たでしょ?」
脳裏にフラッシュバックするのは、血を流して横たわるアレンの姿。
「あ……あぁあああ!!!」
頭を抱えて、しゃがみ込む。
「かわいそうなアレン……貴女とパートナーにならなければ、死なずに済んだかもしれないのに」
「……」
──私の、せいだ。
私がアレンに無理をさせたから……!
「ごめん……ごめんなさい……」
嗚咽を漏らして、そう呟く。
謝罪の泣き声は…闇の中へと溶けていった。
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