introduction~太陽の叙唱(レチタティーボ)~

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「ごめ…ん……ごめんなさい……」 「お、おいっ! しっかりしろよ!」 ギョッとしたような声に次いで、揺さぶられる感覚。 それにより、目が覚めた。 「………え」 目の前にいるのは、オレンジカラーの髪色をした女の子。 その身長は私よりも小さい。 「だ…大丈夫か?」 しどろもどろにそう訊ねてきた彼女に、一拍遅れて頷く。 「…うん」 「そ、そうか」 ………シーン。 沈黙が漂う。 ベッドに寝かされている事に気付き、上体を起こした。 見たことのない部屋。多分、教団じゃない。 「…ここって」 「あー、アジア支部だよ。あたしはフォー。事情はお前のゴーレムを通じてひと通り把握してるぜ」 「……はぁ」 まだ寝ぼけてる感が拭えないままだったが、とりあえず自己紹介をした。 「私はミュア・アヴァンシア。よろしくね、フォーちゃん」 「ちゃ、ちゃん……!? 変な呼び方すんな! あたしはこう見えてお前より年上なんだぞ!」 「え!? そーなの!?」 やんややんやと荒れまくる現場に、第3者が現れた。 「目が覚めたようだね」 病室に入ってきたのは、金髪で20代くらいの若い男の人。 ちょっと優等生っぽい。 「元気そうでなによりだ」 「ミュア、これはアジア支部長のバク・チャン」 「これとはなんだ」 フォーとバクさんの掛け合いは、漫才のようでクスッと笑う。 慌ててバクさんはコホン、とわざとらしく咳をして、本題に入った。 「えー、ミュア・アヴァンシア。早速で悪いんだが、君に見て欲しい記録があるんだ」 「? 何ですか?」 バクさんは私のそばを飛んでいたドルチェに指示する。 「ドルチェ、アヴァンシアにキミが記録した映像を見せてくれ」 ドルチェは口を開けて、空中に映像を映し出す。 その中身は、にわかに信じ難いものだった。
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