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セルジュは微笑みながらも困った様に眉根を寄せる。
「酷い方です。わたくしには彼らを見捨てる事は出来ません」
「ふぅん、なら自分が犠牲になる?」
「いいえ。それをしてしまうとわたくしの為に命を失ってしまった方達に会わせる顔がありませんし、何より、貴方は本当に彼らを見逃してくださるのですか?」
「見逃すって。俺ぁ嘘はつかねぇの」
「本当?」
「本当本当。疑い深いなぁ貴族サマ。このまま殺されちゃうとか思わねぇの?」
「殺されてしまうのですか?」
「あ、嘘嘘殺さない殺さない」
「嘘なのですか?」
「あ、嘘じゃない、て、あーもー焦れったいなぁ。で、どっち!」
のほほんと穏やかに話を進めるセルジュはイラつきこそしないが焦ったさを感じさせる。現に会話を楽しもうとして焦らされる自分に気付いて、男はこれ以上の話は危険と考えた。
このままでは俺まで飲まれてしまう、と。
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