第1章

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「そうですね……例えば」 考える時の癖で顎に当てていた人差し指をピンと立たせる。 「貴方ならどうなさいますか」 「は?」 「ですから、もし、貴方がわたくしと同じ立場に居て、大切な方と貴方の命を天平にかけられたら、どうしますか」 男はセルジュの質問に面食らう。 まさか質問を返されるとは思わなかった。 が、答えは決まっているので直ぐに応えた。 「他人なんて助ける価値ねぇじゃん」 それに尽きる。 男の後ろで待機していた盗賊達も当然だろ、と頷いて同意を表していた。 「其れが、貴方方の頭領さんであっても?」 空気が凍り付いた。 そう錯覚させる程の殺気が盗賊達から放たれている。 騎士達は顔真っ青にし、冷や汗を流していた。 セルジュは平然と微笑んでいたが。
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