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「っは、なんで」
「ーー見つけたぞ」
ずしりと響く低音の美声が、セルジュの言葉を切って捨てようとした男の思考を停止させる。そんな馬鹿な、いや、あり得るはずがない、というか別動隊で王都に向かっていたんじゃないのかと目を見開く様子は酷く滑稽だった。
盗賊達が道を譲って出来た道を堂々と歩く漆黒の男……盗賊の頭ノヴァは右腕とも言える男を一瞥しただけで声はかけず素通りする。
向かう先は男と向かい合っていた女性、セルジュ。
変わらず、それどころか少し深みを増した微笑みに唖然としていた者達は顔を赤くし俯く。
ノヴァは鋭い眼光でセルジュを見据え……深いため息を吐いた。
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