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「俺が勝山を殺す?」
「ええ、そうでしょ?」
「そんなことするわけないでしょ」
にやにやしている男にそう答えたが、嘘だ。俺は勝山を明後日殺す予定だ。つい30分ほど前にそれを決心したばかりだ。
「いやいや、何をおっしゃっているんですか。明後日に殺す、そうでしょう?」
睨みつけるその男に対して、俺も睨みつける。何者だ、こいつは。何で知っているんだ。
「まぁ何で私がそれを知っているかは、どうでもいいんですよ」
どうでも良いわけがない。こいつは確か、《共感できる》と言っていた。何に?天才に?いや違う。力についてだ。力はバレてはいけない。たしかこれに《共感できる》と言っていた。
「あんた、まさか超能力でも使えるのか?」
「……まぁそんなことはどうでもいいじゃあないですか」
またそれか。超能力?本当に?でも何の能力だ?
「……何の力だよ?」
「ははは、それはあれですよ。バレてはいけないってやつでしょ?」
笑ってはいるが、目は笑っていなかった。マジなのかもしれない。能力か。
こいつは明後日俺が殺すことを知っていた。それを知れる能力ってなんだろうか。とりあえず考えてみるか。
「何故あなたは殺すのですか?」
「……」
「何か理由でもあったのですか?」
「それなりに」
この男は俺が勝山を殺すのを前提に話している?ということは俺が勝山を殺すのが決定されているということか?何故それを知っている?簡単だ。こいつは2日後を知っているからだ。未来から来たってことか?時間を巻き戻す的なやつ?そんなことできるのだろうか。
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