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考えを読みきれないまま、ふと思い浮かんだ疑問を口にした。
「そう言えば、どうしてこの街に滞在を?」
カイトの顔がふっと緩んだ。
「ああ、話していませんでしたね。というか、このことは話さないようにしていたのだが。タカヒサ」
「構いません。ここにはわたしの母の実家があるのです。ほかにもいくつか選択肢はありましたが、今回はそこを頼ることにしたという訳です」
林家。
ありきたりの苗字だから、栞にはぴんと来なかった。
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