第一話 囚われ海岸

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 車に乗って移動している間、ターキッシュデライトと色々なお話をした。 なにせただただ広い世界だったし、目的地もなかったから。 僕らはただ何かを見つけるまで走り続けるしかなかった。  通り過ぎていく風景を見ていて気が付いたけど、この世界にも都会と田舎があるみたいだった。 最初僕とターキッシュデライトが出会った場所は比較的建物とかが多い都会だったけど、車で移動を始めて十分も経たないうちに夕陽と茜空と海と道路と街路樹以外見えなくなった。 たまに通り過ぎる建物もまるで廃墟みたいだった。  最初こそ物珍しくてキョロキョロと風景を楽しんでいた僕も、変わり映えのしない田舎の風景にすぐに飽きてしまった。 空を見上げても鳥一匹飛んでいない。 ただ黄昏色だけが広がっている、そういう世界なのだろう。 夕方の五時を過ぎた後の公園のようだと思った。 それまで熱に浮かされたように夢中で遊んでいた友達も五時を告げる鐘が鳴るとみんなせかせかと帰ってしまう。 そんな公園。
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