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そこは夕焼けの世界でした。
どこまでも、いつまでも続く、夕焼けの世界でした。
色とりどりの夢の残滓が漂う風景は時々刻々と姿を変えてゆきます。
さっきまであった建物がいつの間にか瓦礫の山になっていたり、何もないところから人が出てきたり。
まるで出鱈目な場所でした。
ターキッシュデライトはいつまでもその風景に佇んで見ています。
変化によって生まれる景色を愛し、失われる風景を記憶に刻み付けています。
誰かが彼女にそうしろといったわけではありません。
ただ悠久の時間を過ごす彼女にとってできる暇つぶしはそれしかなかったのです。
だから彼女は見続けて、記憶し続けます。
あるとき、名の無い少年が夕焼けの世界に現れました。
ターキッシュデライトは少年にロクムと名付け一緒に夕焼けの世界を巡っていくことにしました。
世界はどこまでも、いつまでも続いています。
二人の旅は一体どこに流れ着くのでしょうか?
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