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「あのさ、ターキッシュデライト。ちょっと思ったんだけど、……ここはどこなの?」
僕はふと思い出して聞いた。
僕はもしかしたら迷子かもしれない。
そう思ったら急に不安な気持ちになったからだ。
「そうねぇ、ちょっと難しい質問ね。……ところで、不思議だと思わない? さっきからずっと夕焼けが続いているじゃない?」
彼女は質問に答える代わりに僕にそう訊ねた。
「あっ、ホントだ! なんで?」
「なんでだと思う?」
大人の優雅さと余裕を兼ねそろえた声色が僕の耳をくすぐった。
「えー、うーん、そうだなー。お月様が寝坊してるから?」
僕は昔読んだ絵本の挿絵を思い出しながら言った。
言った後に、あれ? と思ったけど、ターキッシュデライトが口を開いたので忘れてしまった。
「ふふう、ロクムは面白いことを言うね。まあこの世界にはたぶんお月様はないけどね」
「ないの!?」
僕は思わず橙色の空を見上げて月を探したけど、見つからなかった。
「たぶん地球じゃあないからねー、ここは」
「えっー! じゃあ、別の星?」
僕はいつの間にかロケットで地球から離れてしまったのだろうか。
「さあ?」
「ターキッシュデライトにもわからないの?」
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