第一話

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「お兄ちゃん朝だよ! すっごいあさだよ!!」 シャアーとカーテンを一気に開ける妹。 「うぎゃー! は、い、に、な、る!!」 「どこの吸血鬼よ・・・。 そんなことよりお兄ちゃんお兄ちゃん!! FEOって知ってる!?」 朝っぱらからうざいぐらいテンションの高い少女。 俺の妹の瑞希だ。 「・・・うるさいぞ。 朝は苦手なの知ってるだろ。」 「お兄ちゃんは朝が苦手なんじゃなくて寝起きがダメな人でしょ。」 さすがわが妹だ、兄のことをよく知っている。 「で、何の話だった?」 「そうそう! FEOだよ!FEO!」 「酸化鉄か?」 「は?何言ってんの? FEOって言ったらファンタジー・アース・オンラインのことに決まってるでしょ!」 酸化鉄とか・・・頭大丈夫?といった目で見られた。 お前今年受験生だろ。 お兄ちゃんちょっと心配になったよ。 「それでそのFEOがどうしたんだよ?」 「これ一緒にやろうよ!」 「確かFEOって世界初のVRMMOだろ? 最近にニュースでよく取り上げられてる。 発売前日にやろうって言われてもさすがに手に入らんだろ。」 そういうと、妹はポケットから紙を2枚取り出した。 「じゃじゃーん! なんとここに引換券が2枚あるのです!」 「おぉ、よく手に入ったな。」 「私はベータテスターだったから優先引換券もらえたんだ。 拓海さんにお願いして用意してもらったの! 雄大がやるってんならソフトの一枚や二枚用意してやんよ!って。」 拓海とは俺の親友だ。 小学校までしか同じではなかったのだが、18歳になる今でも結構な付き合いがある。 あ、雄大は俺の名前です。 「まあ、拓海に無理させたんならやってみるか。 でも俺あんまりゲームとかしたことないぞ? どちらかと言うと読書のほうが好きだ。」 「大丈夫大丈夫! 攻略サイトでチョチョイと予習してあとは実践あるのみだよ!」 といった感じで俺のVRMMOデビューが決まった。
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