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、ノートパソコンの液晶を閉じると、甲冑の両腕を折り曲げそこに載せる。
小さい取っ手が付けられた胸部を開けると、コーヒーや紅茶類、マグカップが
収納されており、マグカップを2つ取り出す。
「だいちゃん、コーヒーか紅茶どっち?」
「え? じゃあ・・・コーヒーで」
「おっけ~」
準備を始める姿を眺めていたら、急に焦りがこみ上げてきた。
「あっ、ぶ、ブラック!」
「ん?」急に張り上げた声にきょとんとした顔を向けられる。
「あ、いや、その、コーヒーといえばブラックかなって」
「ふ~ん、ブラックね~、おっけ~」
ゆったりした口調でひやかすような感じでこちらを見てくる。
「な、なんですか」
「別に~?」
そう言うと、しゃがみ込み、甲冑の両太股部を開け、右からポットを、左から
ペットボトルを取り出し、ポットに水を入れお湯を沸かしはじめる。
「あの・・・、今さらなんですけど」
「ん?何?」
2つのマグカップにインスタントコーヒーを鼻歌交じりでいれている
なずなさんに話続ける。
「甲冑の使い方間違ってると思うんですよね」
「え?どのへんが?」
「いやいや、今なずなさんがやってることとかですよ」
そう言いながら、ポットまで歩みを進め、真ん前に来たとき、パチン!とお湯
が沸いた音が響く。ポットを持ち上げ、マグカップにお湯を注ぐ。
「ありがと」
マグカップから立ち上る蒸気のような、やわらい笑みを向けられ
照れながらも、うっす、と小声で返事してポットを元の位置に戻した。
マグカップを受取り、しゃちほこの椅子を進められ、渋い顔をして意思表示を
したのだが、なずなさんは、ぷふふっ、と笑いながら、ひょいっとカウンター
の上に座りコーヒーを飲み始めた。
仕方ないのでしゃちほこ椅子に座る。
「ん~、やっぱりわかんないな」
「え?」
一瞬なんの事かわからなかったが、すぐに甲冑の使い方の事かと気付き、目線
をコーヒーから、なずなさんに向ける。
両足を軽く前後に動かしながら、胸のあたりでマグカップを抱えている。
・・・マグカップになりたい。あっ、やばい、と思い、なずなさんの顔みると
さっきのやわらかい笑顔のままだった。セミロングの髪を後ろに束ねていると
ころから白いうなじが覗いている。少し慌てて、正面のごちゃごちゃした商品
を見渡した。
(何が良いかな~? あんまり考えたことなかったな~、ん~)
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