第1章

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独り言を呟きながら考えてる姿を横目で見る。このままずっと見ていたいな って思った。また恥ずかしくなり視線を正面に戻す。少しして、なずなさんが 話しかけてきた。 「貯金箱とかの方が良かったかな?」 「いや、それも間違ってますって」 「う~ん、じゃあ、化粧台!鎧をピカピカに磨けば鏡にもなるだろうし!」 「もっと違いますって!そんなトリッキーな化粧台は引きますって!」 「良いと思うんだけどな~!空気椅子みたいに形づくって、両手は小さく前 ならえ、みたいにして突き出すの!」 「は、はあ」 「お化粧中は膝にまたがって胸板を鏡代わりに!疲れたときは膝に座って 強固な両腕と胸板に、自分の腕と背中を預け、椅子代わりに!はッ!まるで お姫様!これはいける!そうだ!椅子にしよう!」 「ちょっ、ちょっと!なずなさん!!椅子も含め全部ダメですよ!?」 「え~!?何で椅子だめなの!?」 「どんだけ椅子好きなんだよ!!でかくてじゃまだし、座り心地悪いでしょ!?」 「むうぅ~!膝にはクッションを置く!胸板には・・・黒色のもじゃもじゃ 毛糸玉をいっぱいつける!」 「なぜ変なリアルさをつける!?気持ち悪いわ!!」 「なっ!?ひどい!!謝れ!あるふぉんすくんに謝れ!」 「その甲冑名前ついてたの!?」 「そうだよ!?当たり前じゃん!!」 「当然毎のように言うなよ!?俺が間違ってるみたいだろ!?」 「だいちゃんは基本間違ってるよ!」 「あんたに言われたくねぇー!!」 ぜえぜえ、ハアハアと2人して息を荒くする。 なずなさんはコーヒーをカウンターに置き、両手を頭上に突き出すと同時に、 すぅー!はあー!と大げさに深呼吸した。胸元に目線が行きそうになる のを堪える。 「じゃあさ」 優しい口調で語り掛けてくる。 「はい?」 「どうしたら・・・正解?」 「え?」 なずなさんの問いに頭が真っ白になった。 甲冑の使い方、今のあるべき正解・・・。答えられない自分に焦りと不安を 感じていく。 お互い沈黙の時間を過ごしていく。 「ふっ」 「うわっ!あっつ!!」 耳元に息をかけられ、驚いてコーヒーを手元にこぼした。 カウンターにコーヒーを置き、手に息を吹きかける。 「何するんですか!?」 「ごめんごめん、リラックスさせようと思って」 いたずらな笑みからはそんなものは微塵も感じられなかった。 少しムカつき、視線を足元にやる。
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