距離感

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「っえ、ちょ…たんま……――」 椎名の思いもよらない行動に、縁は咄嗟的行動で椎名の腕を掴んだ。 頭の中は真っ白だ。 「どうしたんですか?」 「え、、は? どうしたって…―― え?俺が…おかしいのか?」 縁の一人言にも似たそんな言葉で、椎名は「あぁ」と言葉をこぼした。 「初めてですもんね。 説明するよりも実践した方が早いかなぁと思ったのですが」 「…え、っと、」 「セックスするには、ここ、解さないと縁さんが痛いでしょう?痛がってる姿を見るのは趣味じゃありませんし、なにより初めてで痛いのは気持ち良くありませんし」 ね? と。 いやいやいやいや、と縁は思った訳なのだが、今の状況をどうにか出来る訳でもなかった。 それに、なんとなーく察しがつき、正直怖くて、でも、逃げ出すことが出来なくて。 どうすることも出来ない状況なのだ。 「優しくしますから、肩の力抜いてくださいね」 力を抜け言われても、、 「…っ…」 違和感でしかない。 ハッキリと感じる。 違和感を。 気持ちいいとか、気持ち悪いとかは解らない。 逆に客観的に、入っていると、そう感じている。 汚いだろ、と正直に思うも、手慣れている感じの椎名は何も言うことなく、指を丁寧に動かしている。 「普段、ここ触ったりする?」 「…へ…? し、しない、です」 「だと思った。 ま、普通はしないと思うけど、意外と気持ちいいんだよ?ちょっと待ってて」 唐突な質問に縁は戸惑いながら答えた。 そうすれば、椎名は指を抜き、リビングの方にまで戻ってしまう。 一瞬でも、終わり?とか思ってしまった。 でも、そうではなく、椎名はなにかしらを手に持ち、戻ってきた。 コンドームと…ローション? 椎名は手に持っているローションを自分の指にかけるなり、先程と同じ動作をした。 「っ…」 「…うん、こっちの方がいい」 さっきと違うってのは直ぐに解った。 何が違うとか、そういうのは具体的には解らないけど、確かに感覚は変わった。 指の出し入れ。 なんか、変な感覚。 その指は段々と数が増やされていき、指の数が増えれば増えるほど、縁も。 気持ちいいと感じ始めていた。 「…ぁ…ん……」 そして、不思議な欲求で、もう少し奥も、と。 でも、その気持ちは指ではどうこうすることが出来るものでは無かった。
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