距離感

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「はぁ…あ……ん…――」 妙に唾液の音だけが、耳に残る。 おかげで、すっかり感じてしまっている。 「…胸、もうこんなにしてる」 「椎名さんがしつこく舐めるからです」 自分でも解る。 椎名さんがする行為に感じている。 体は反応を示している。 椎名は縁の腰にへと手を回し、優しく腰回りを撫で、その手を下へ下へとずらして行く。 ベルトを外し、丁寧にパンツの上から触れてくる。 「…こっちも」 「恥ずかしい…ので言わないでください」 「っ、ふふ…そういうの、反則です」 椎名は頬を少し赤らめ、手で触れるのを止め、縁自身を出すなり、それを迷うことなく口に含んだ。 「っあ…―」 心の準備をしていなかった。 突然のことに、体は酷く反応を示した。 ぬんめりとした舌の感触。 柔らかい唇の感触。 やば…い……―― 気持ちいい。 「っ、あ…ぁ…ん……」 情けないとさえ思えてくる。 腰が、だんだんと反っていく。 椎名さんが俺のを舐めている。 それだけで興奮出来る。 それなのに、そんな椎名さんを眺めているだけで達せそう。 「っ、ん、あ、椎名さ、ん…っ、だめ、むり、」 離れて欲しい。 でも、離れない。 我慢、できない。 「うっ、く、あっぁ…――ぁ、はぁ、…はぁ」 ゴク、と。 マジ有り得ない。 最悪。 「椎名さん、俺、ごめ」 「謝る必要ないですよ」 凄い恥ずかしい。 我慢することさえ出来ず、そのまま椎名の口の中で達した。 あろうことか、それを椎名は飲み込んだ。 絶対体に悪い。 「…こんなの慣れれば、美味しいですよ」 「…え、?」 「私ので良ければ、飲んでみます? 焼けるような喉への刺激が癖になりますよ」 なんとなく、椎名の表情を見て。 拒否権は無いんだなと縁は悟った。
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