距離感

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また、これを。 やはり、躊躇う。 男性性器を自分が? 正直、椎名と付き合うまで考えてもみなかったことだ。 今でも、どうしても躊躇う。 「ん、」 どうやってやろう、と。 考える。 「椎名さん、座って」 「ん」 椎名は言われたままに、座る。 そんな椎名にキスをしながら、縁は手で触ることにする。 そうすれば、椎名は思いの外感じてくれる。 「っ、ん」 ビクッと体が反応しているのが可愛い。 「ぁ…それもいいけど…― 口でしてよ…」 ドキッ――― まず、敬語が無くなったことに胸を高鳴らせ、我慢出来ないと言わんばかりに細められた視線のエロさ。 そんな椎名に縁は胸を高鳴らせ、言われるままに口でする。 「…いい。 上手」 優しく頭を撫でられれば、それは犬のように、従順に従いたくなってしまう。 口に含みながら舐めたり。 ただ、舐めたり。 ドクドクと脈を打つように、熱く硬くなっていくものに愛しささえ覚える。 「…もうちょっと」 不思議だ。 俺がしているのに。 俺も、気持ち良くなってくる。 「あっ、んっっ、」 ドクッ、と。 喉への刺激。 噎せ返りそうになる。 熱い…―― それに、 不味い。 苦くて、ネバネバして。 「はぁ…はぁ……――」 「んっ」 息を切らす縁にへと、椎名はキスを交わし舌を絡ませてくる。 「白い…― エロいね」 「んっ、」 今度はキスじゃなくて、縁の口の中にへと椎名の人差し指が入ってくる。 「舐めて」 言われるがままに舐める。 そんな俺を見て、なにが楽しいのかは解らない。 そして、指が2本に変わり、しばらくすれば、その指は離れていった。 「じゃ、縁さん。 今日は最後までしますからね」 それは忠告かのようだった。
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