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「…はあ……――
椎名さん…」
ぼーっとする頭で特に何かを考えることもなく、縁は椎名の名を口にしていた。
「…縁さん、可愛い」
「ん…」
優しいキスも、今じゃただの快感。
体全体が妙に感じやすくなっている。
そんなことより、
もっと強い刺激が欲しい。
思考回路は完全に鈍っている。
考えることは、ただ今している行為のことだけ。
「椎名さん……」
「そんな呼ばなくても解ってますよ。
縁さんは、本当に可愛いから焦らしたくなるんです。
ほら、力抜いて」
椎名の腕を無意識にも掴んで、不思議と椎名がしようとしていることに抵抗を感じることもなければ、この身を椎名に任せていた。
それでも、
「っ、う、、」
「痛かった?」
「…少し驚いただけ」
ハッキリと感じる違和感は、意識をハッキリとさせるには十分なもので、感覚すらもハッキリし始め、ただただ椎名のものがゆっくりと入ってくるのを感じていた。
それが妙に気持ち悪い。
悪いことをしている。
謎の罪悪感。
神に背いている。
なんて。
馬鹿みたいに考えた。
「あ…っ…ん……」
でも、気持ちいい。
「奥まで入った。
動くね」
「あ、あ、…ま、んっあ、や」
「そんな焦らさないでよ。
ゆっくり呼吸して、私に合わせて」
椎名の呼吸に合わせるように、椎名の動きに合わせるように。
そうすれば、ぐっと快感は強くなった。
「あっ、っ、ま、あぁ」
気持ちいい……――
初めての感覚だ。
でも、
気持ちいいのだ。
声を我慢出来る訳もなく、ただただ喘ぐ。
「うっ、あ、っむり、やだ、」
「無理とか、やだとか言うわりに感じてる。
前立腺とか凄い感じてるね?
ほら…ここ」
「んんっ、あ…!
っ、だめ、おれ…あっ」
椎名は、縁が弱いと思われる場所を徹底的に狙う。
「…気持ちいい…――」
「よがんないでよ。
歯止め効かなくなっちゃうから」
優しい言葉で優しい口調だった。
でも、
椎名も椎名で、もう縁を焦らしてやる程の余裕は無くなったらしく、縁と同じように快感に浸るだけだった。
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