67人が本棚に入れています
本棚に追加
「それではぁ~白石ぃ颯太君とぉ~山田ぁ圭介君とぉ~小湊ぉ遥ちゃんのぉ~前途を祝して……かんぱぁ~い!」
千草さんがグラスを高々と持ち上げる。
「「乾杯!!」」
音頭に合わせグラスを掲げるのは馨瑠さんと圭介だ。
先程からこのやりとりを何度も繰り返しているのに、まだ飽きずに続けている。
「何度乾杯したら気が済むんですか?」
呆れて問い質す僕に千草さんが噛み付く。
「めでたい事なんだからぁ、何回したっていいじゃないのさぁ~」
千草さんはワインを飲み完全に出来上がっているようで、目が据わっている。
「そうだ!そうだ!颯太の石頭!ケチ!小姑!」
馨瑠さんも泥酔とはいかないまでも、軽く酔っているようだ。
飲んでないのに毎度の乾杯に付き合う圭介も圭介だ。
「まあまあ、祝ってくれてるんだし……」
小湊さんが宥める様に僕に言う。
今日は高校卒業と進学祝いを兼ねた僕達のお祝いパーティを馥郁堂で開催していた。
といっても祝われるべき僕ら三人は未成年なので、当然お酒は飲めない。
ただただ酔っ払い二人の醜態を見る会へとパーティは姿を変えてていた。
最初のコメントを投稿しよう!