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「いやぁ~あの颯太が春から大学生かぁ早いもんだなぁ」
子供の頃から知っているような口振りで千草さんは言うが、知り合ってまだ一年半ぐらいしか経っていない。
それなのに、馨瑠さんまで一緒になってうん、うん、と感慨深そうに頷いている。
「それに圭介君と遥ちゃんも進学か……いやぁめでたいなぁ~乾杯!」
「「乾杯!!」」
再三再四の乾杯がまた行われる。
もう酔っ払いの相手は圭介に任せよう。
テーブルに並べられたオードブルを口に運ぶ。
今日の料理は千草さんの手作りらしい。フレンチレストランで働いていただけあってどれも美味しかった。
「白石君は遠くの大学に行くんだよね?」
乾杯に勤しむ三人を横目に小湊さんが話しかけてくる。
「そう、鳥取の大学」
僕は嗅覚と記憶に関する研究をするため、鳥取にある大学に進む事を選んだ。
「そっか……遠いね」
「小湊さんは?」
「私は地元の大学。教員免許を取って先生になろうと思ってる」
「そっか、小湊さんは向いてると思うな、先生」
「そうかな?ありがとう」
「あー!!こそこそ二人で何話してんの?圭介の恋路の邪魔は許さんぞ!行け!圭介!!」
千草さんは毎度毎度の余計なお世話を焼き始めた。
「ちょ……千草さんもう飲みすぎだから!」
圭介はありがた迷惑という表情で千草さんの暴走を止める。
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