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「遥ちゃんは好きな人いるの?」
千草さんはこうなると止まらない。
「なんですか、急に!」
小湊さんは顔を赤くして焦っている。
「圭介なんて、どう?」
千草さんは圭介の肩を持ちながらずいっと小湊さんの前に押し出した。
「ちょっと、酔ってるからってあんまりだ!」
圭介は泣きそうな顔で叫ぶ。小湊さんは俯いて黙ったままだ。
「だってさ、卒業しちゃったら別々の道を進む訳じゃん?ここで行動を起こさないと、ずっと後悔する事になるよ?」
千草さんは最もらしい事を言って圭介を焚き付ける。
「そんな言い方じゃ、僕が小湊さんの事が好きだってバレバレじゃないですか!」
勢い余って圭介の口が滑る。
「あ~あ、今のは完全な告白だな」
事の経緯を見守っていた馨瑠さんが意地悪そうに笑う。
図らずも好意を口に出してしまって吹っ切れたのか、圭介が小湊さんに向き直る。
「小湊さん!僕の気持ちは今言った通りです!付き合ってとか急に言われても困るだろうし、先ずは連絡先を交換して下さい!」
深々と頭を下げた。
小湊さんは少し困った顔をしていたけれど「連絡先くらいなら……」と圭介の願いを聞き入れた。
「ヒューヒュー!若いっていいねぇ!」
千草さんは両手を叩いて喜んでいる。
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