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外に出ると、一目でかなり高いとわかる車が止まっていた。 私はその車に向かって手を振った。 「お待たせ」 「ん、お疲れ」 運転席の男は、私に優しく微笑んだ。 私が車に乗り込むと、すぐに車は走り出す。 「今日の依頼もちょろかったよー」 「ははっ、そりゃ良かったな」 私の言葉に、彼は声を出して笑う。 高校生のあの日、私に声をかけたのは彼だ。 彼の紹介で始めた仕事、それは占い師だった。 私は昔から「人の心を読む能力」があった。 それは、私を悩まし続ける能力だった。勝手に人の心がわかると言うことは、好意も悪意も全部わかってしまう。人には、わからないで良いこともあるのだ。 この能力がいつか消えてくれないかと思っていた時、彼に声をかけられた。 彼も、私と同じ能力者だったのだ。 そして、彼の仕事に誘われた。 こんな能力ない方がいい、そう思っていたのは今は昔だ。 「明日の仕事は?」 「明日は、オフ!たまには、二人きりでのんびりしようぜ?」 にやりと笑う彼に、私は笑ってしまった。 赤信号で車が止まる。 そう、彼はただの仕事仲間ではない。 私の彼氏でもあるのだ。 彼に出会って、私の人生は変わった。 能力を隠すことばかり気にしながら生き続けていた昔とは違い、今はのびのびとした生活を送れている。 信号が青に変わり、車がゆっくりと走り出す。 私は、車の心地よさに静かに目を閉じたのだった。
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