第1章

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「君、僕と同じ力を持っているんだね」 「え?」 彼との出会いは、本当に偶然だった。 つまらない高校生活も一年も経てば慣れてくる、そんなある日のことだった。 「君はその能力が嫌いなんだね」 「っ、……!」 ーー何こいつ! 「君の能力を最大限生かせる仕事があるんだけど、興味ない?」 彼はとても怪しかった。 けれど、その言葉はとても魅力的で。 私は彼の話を聞くだけでも聞いてみることにした。 「……貴方がやったんですね?」 「ーーっ!!」 「会社のお金は……あぁ、キャバクラで全部使っちゃったんですかぁ」 私は目の前にある大きな水晶玉に手をかざして覗きこむ。 もちろん、水晶玉の中には何も映ってなどいない。 そんな私を沢山の男達が取り囲んでいる。 私が指差した男以外は。 「あー、かなり前からやってらっしゃるようですねぇ」 私の言葉に、男は固まって口をパクパクさせている。 「本当にあいつが?」 「えぇ、彼の会社の引き出しの一番上を確認してください。そこに、彼の通帳と印鑑があります」 私はそう言って立ち上がった。 私の仕事はここまで。あまり深入りするとろくなことにならない。 水晶玉を鞄にしまい、男の人達の間を縫うようにして入り口の扉にたどり着く。 「では、確認がとれましたらご連絡ください。振込などは後日お願いいたします」 それだけ言い残して、その部屋をあとにした。
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