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 そう考えていると急に身体が沈み込む。  今までは水面に浮かんでいたようだが、違うのか。  見上げれば川か湖の界面が輝いている。  それがキラキラとうねっているのから昼なのだろう。  海ではない。  理由は不明。  直感だけがわたしにある。    一体どんな理解の仕方なのだろう。  あるいは非理解的帰納とか。  身体はまだ沈み続けている。  息が苦しくないのが不思議だが、その時点ではまだ夢だと気づいていない。  後で思い返せば色も付いていなかったのだが、あのときはそれに気づくほど冷静でも明晰でもなかったようだ。  ふと横を向くとアレが戻っている。  わたしと同じ速度で水中を降下しながらペタペタ触りを繰り返す。  だから、そろそろいいかなと思って目を開けると案の定アレが吃驚する。  だがホッと溜息をついたような顔つきも見せる。  ついでウンウンと首肯くように首を振ると次の瞬間にはもうわたしの目の前から消えている。  何処にもいない。  すると暗転。  わたしが闇に囲まれる。  何処にもいない。  わたしもいない。  いや、わたしはいるのだが、まるで自分の感覚がしないということ。  目覚めたいという想いはある。だが同時に目覚めたくないという想いもある。  そのときにはもうベッドの感覚に包まれている。  けれどもそのベッドは幻想で、わたしが寝ているのは柔らかいが湿った草の上だ。  けれどもそれはわたしの発見場所で、気を失っていたわたしに記憶があろうはずがない。  しかし時折意識が戻り、憶えていたとも考えられる。  でも知らない土地なので所詮記憶のツギハギだ。  わたしは昔に会いたくて、あの場所に出向いたのだろうか。  良い思いで出など僅かだというのにノコノコと。  わたしは一体何を期待したのだろう。  年月は取り戻せないと知っていたはずなのに。  過ぎ去った日々は懐かしんでこそ価値があると理解していたはずなのに。
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