三桜

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どのぐらい眠っていたのだろうか? 兄様達の話す声で起きる。 「桜、心配したぞ。」 「叔父様は?」 「もう大丈夫だ。今は応接間でコーヒー飲んでるよ。 それよりも、中々目が覚めないから心配した。 一週間寝てたんだぞ!」 「一週間? そんなに?」 ちらっと尚隆を見ると、うんうんと首を振りながらニコニコ笑っている。 絶対強制的に眠らされたんだと思うと腹立たしかったが、 体も軽くなっていたので怒るのはやめておいた。 「お祖父様は...?」 「この一週間、色々と探っていたんだが、今のところなにも問題はないし見舞いに行くか?」 「行きたい。 すぐに準備するね。」 そう言ってベッドから降りるも、 体は正直で、お腹がぐぅぅぅっと鳴ってしまった。 「真紀さんに用意してもらうから、その間に準備してこいよ。」 「わかった。 食堂に行くから。」 「慌てなくて大丈夫だからな。」 「はーい。」 「元気になって良かった。」 「知らないのは本人だけだもんねぇ。」 『高熱にうなされておった時は、幼き頃を思い出したが、 また花弁が現れだしてるとは... 見えにくい場所だから気付かねば良いのだが...』 「倒れてから薬も飲めてなかったからねぇ。 さすがに飲んでもらわないことには何もできないから。 それに、こんなに早くあの伯母さんが出てくるとも思わなかったし。」 「言った方がいいのかなぁ?」 『咲夜、今は止めておけ。 まだショックだろうし、いずれは分かることだ。』 「俺、親父呼んで食堂行くから先に行っててくれな。」
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