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----- 2015/12/24 --------------------
街の騒音がやけに遠く感じる。
あってなるものか。
恋人がゴミか何かのように川上から流れてくるなど。
あってなるものか。
身代金も用意した、警察には連絡していない、俺は一人でここにきた。
それなのになぜ。
汚い水にまみれ、白く青く変色した彼女。
底知れぬ憤りが涙となって汗となって体中から溢れた。
必ず、殺す。
----- 2015/12/25 --------------------
その村の風習なのですが、満月の日から一日一つ黄色いパンを焼くんです。
硬くて乾いてて、それを少しずつくっつけて大きな丸いパンにするんです。
そして新月の日に、海に流すのです。
----- 2015/12/26 --------------------
「なぞなぞ、黄色いのに悲しくなると茶色くなるの、なーんだ?」
「知らないよハル。暑いからそのテンションやめてくれないか」
砂漠は今日も暑い。
時折吹く風で砂が舞い上がり、マスクをすり抜けザラついた匂いを感じさせる。
「ぷえ~、つまんないつまんない。砂しかないから暇だ~よぉ~」
ハルはぷいぷいと不満そうだ。
どちらの方角を向いても砂の山や谷が続いているばかり。
太陽の位置だけが時間の経過を感じさせる。
「あっ!あっ!風がくるよぉーう、風!風!」
相槌を打ちながら荷物から防砂用のシールドテントを取り出し、展開する。
この砂漠の砂嵐は危険なのだ。
砂のように見えて、その正体は<<菌>>だ。
生き物に付着すると、爆発的に増殖し水分を吸い続ける。
何の対策も無く風に吹かれたら、あっという間にミイラだ。
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