No.7 [2015/12/29]

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----- 2015/12/24 -------------------- 街の騒音がやけに遠く感じる。 あってなるものか。 恋人がゴミか何かのように川上から流れてくるなど。 あってなるものか。 身代金も用意した、警察には連絡していない、俺は一人でここにきた。 それなのになぜ。 汚い水にまみれ、白く青く変色した彼女。 底知れぬ憤りが涙となって汗となって体中から溢れた。 必ず、殺す。 ----- 2015/12/25 -------------------- その村の風習なのですが、満月の日から一日一つ黄色いパンを焼くんです。 硬くて乾いてて、それを少しずつくっつけて大きな丸いパンにするんです。 そして新月の日に、海に流すのです。 ----- 2015/12/26 -------------------- 「なぞなぞ、黄色いのに悲しくなると茶色くなるの、なーんだ?」 「知らないよハル。暑いからそのテンションやめてくれないか」 砂漠は今日も暑い。 時折吹く風で砂が舞い上がり、マスクをすり抜けザラついた匂いを感じさせる。 「ぷえ~、つまんないつまんない。砂しかないから暇だ~よぉ~」 ハルはぷいぷいと不満そうだ。 どちらの方角を向いても砂の山や谷が続いているばかり。 太陽の位置だけが時間の経過を感じさせる。 「あっ!あっ!風がくるよぉーう、風!風!」 相槌を打ちながら荷物から防砂用のシールドテントを取り出し、展開する。 この砂漠の砂嵐は危険なのだ。 砂のように見えて、その正体は<<菌>>だ。 生き物に付着すると、爆発的に増殖し水分を吸い続ける。 何の対策も無く風に吹かれたら、あっという間にミイラだ。
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