桜の木の下で

第1章

「何を食べよーかなー。」

すれ違う看護師や医者に挨拶をしながら売店を目指して歩いていると看護師がかたまって話しているところを目撃した。

あれは･･･小児心外の看護師？？

何かあったのだろうかと思っているとおもむろに1人の看護師が

『ねぇねぇ、聞いた？あの話』

と、他の看護師に問いかけると

『聞いた聞いた！！新しく来る先生のことでしょ！？』

と、興奮冷めやらぬ様子で答えた

新しい先生？？

そんな話あっただろうか。

私が記憶をたぐり寄せてるあいだも看護師たちの話は続き、

『アメリカから来るんでしょ？しかも小児心臓の世界的権威であるあのトーマス医師の愛弟子らしいじゃない！』

『そうそう！しかもかなりのイケメン！！！』

今にも黄色い声をあげそうなテンションで話をする彼女たちに

“結局はイケメンか”

と、若干呆れつつも

「アメリカ……。」

無意識に私はそう呟き、窓から見える中庭を呆然と眺めた。