第1章

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「あれ、なんで私ここに...。」 気がつくと私は中庭の、桜の木の下にあるベンチの前に立っていた。 ここまで来る道のりの記憶がないことから無意識にここに来てしまったんだと思った。 このまま立っているわけにもいかないのでしょうがなく私はベンチに腰を下ろした。 「懐かしいなぁ。」 この場所に来ると思い出す。 初めて恋をした、甘酸っぱい気持ちも。 別れて知った、辛く苦しい胸の痛みも。 そして、 医者になろうと決意した、あの清々しい気持ちも。 「ねぇ叶君、もう8年経ったよ...?」 君は今、どうしてるんだろう。 全ては9年前のこの時期、この場所で始まったんだ……。
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