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「……でも。すんげぇ優しくて。この間も、課長から俺、庇ってくれて。東条さん、悪くないのに、すごく……すごく怒られて……」
くっそ、あンのハゲ頭!
まだ黎子さんのこといびってんのか!?
だけど、俺もそうやって、たくさん庇われてきた。
私の指導不足です、管理不足です。
行き届かなくてすみません。
今後は絶対注意します、させます、云々。
俺の前で頭を垂れた、細い背中の一つ一つを、俺は忘れないだろう。
「後で主任にも怒られました。主任は、俺らの話も聞いてくれるから、東条さんだけが怒られることはないけど、でも俺。情けなくて。だから、絶対、俺…….」
皆まで言わせたくなかった。
喉に流し込んだジンが苦い。
さっきより強い炭酸が、ピリピリと舌を麻痺させた。
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